カテゴリ:映画も観る( 24 )
鎖される赤色 [ハゲタカ]
元々、地上波リアルタイムで愚弟と共にド嵌りした作品。
数年経つけど、やっぱり今でも最高峰に位置する出来のドラマだと思う。

映画は、やはり尺の問題で駆け足気味になってしまったのが勿体無いと思うけど、良かったと思います。
ただ、どうしても後味の悪さ…遣る瀬無さというか残酷さが拭えないのが切ないな;

ドラマ版も、そりゃ金の問題で幾つも悲劇が起きて、人も死んで。
それでも、最後にあんな柔らかに微笑する、ようやく様々な鎖から(解き放たれることはないにしても)少しだけ自由になれた鷲津さんの姿に救済を感じられるラストだっただけに…劉の最期が哀しくて仕方なかった…


掃溜めからそれこそ、己を封じ殺して伸上って。
結局行き着いた先が野垂れ死にだなんて非道い。凄く哀しい。
だからこそまた、新しい十字架を背負う鷲津さんの生き方に対しても泣けてくる…


凄いドラマです、熱いです。
そうして相変わらず凄まじいまでの萌え(笑)…西乃屋さんチの猫の愛らしさは何事!?
てゆか玉鉄の表情が果敢なすぎてヤバい(落ち着け)!



もう一回観たいけど、どうにも時間取れないだろうなー…来月は[蟹工船]も公開来るし。

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by yoiyamigentoukyou | 2009-06-22 02:51 | 映画も観る
眼差しの文学という系譜 [悪夢探偵2]
突き詰めれば、視覚と聴覚という器官が如何に超越した感覚器で、根本的に一番「生」に直結している外渉機関でもあるということ、か?
(あくまで個人的に、だけれど)

物凄ーく久し振りに、映画に運んで来ました。
本当は、恐怖という優しさ、とか…まぁそんな記事タイの方がいいんだとは思うんだけど。


他人の意識に同調し、夢というフィールド下で干渉出来る特異能力を有する影沼には、己を含む「世界」を異様に恐怖しこの世を去った母に対する「何故?」という疑問が強く残っていた。

ある日、怖がりの同級生が夢の中に出て来るという悪夢を見るという少女が依頼にやって来る。



前作とはガラリと変わって、とても日本的な恐怖が描かれていました。
ノスタルジーは簡単にネガとポジとを反転させる。摩り硝子の障子は明るい陽光の許では温かく映るけれど、夕闇が濃くなる程に曖昧に翳る視界には酷く憂鬱で、朧な物影が奇妙に生々しく像を結ぶ。

背後に、足許に。
確実に存在する暗い部分を。

認識してしまった瞬間、確かにそこから一歩を進むだけでも恐ろしい。


視覚の存在、聴覚、そうして肌に刺さる感覚的な触覚。
己とそれ以外とを隔絶し、絶えず再構成を繰り返す認識。

臆病で、弱くて。
だからこそ手を伸ばして、受け止めて欲しいと願う。抱き留めたいと希む。


幼子を恐る恐る、けれども確実に抱かかえるように。
泣きじゃくる少女を、母を。
只、抱き留めていた影沼。

そこには弱さも哀しさも毅さも愛しさも果敢なさも醜さも…何もかもが溶け合って、同時に散逸しながら存在していたのだろうと思う。




松田龍平は、過去に見て来た色んな映画の中で、今回の影沼の、終盤に魅せる表情が一番素朴で、でもエロティックで、とても柔らかくて素敵だと思う。

とまれ、怖かったことに変わりはない訳で。
結構、薄目で見ていた…まぁ、前作よりは寝付きは良かったけど;
闇と光は兄妹なんでしたっけ? 間に眠りが居たっけか>旧ギリシア神話。
うん、梶井のことを思い出したので、そんな記事タイ(つか、前の関西どっとコムさんのはタイトル一覧があったんで、便利だったんだけど…探し難いったら無い)。


それにしても…映画の感想を書くのがこんなにも久々になるとは;
去年に見た映画の感想、5本くらい書いてないままやん…orz

…伝芸に至っては何時から残せてないんだろう; 済みません。

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by yoiyamigentoukyou | 2009-01-23 02:09 | 映画も観る
それぞれの事情
印刷に掛ける予定が急遽映画館へ。
前売り買ってあったんで; もー今日を逃すと見られんわ、と。

ジャージ と たみお
連続して鑑賞。逆だったら良かったかなー。個人的に軍配はジャージ。

鮎川さん格好良かったー。
ジャージ姿も凛々しく。潔かったですね。

たみお は若干、判り難かった; 元ネタが分からんから、ラストカットがちょっと「?」と置いてけ堀感満載で。思ってたよりもシリアス寄りだった。


細かい感想は後日にでも。
ああ、歌舞伎も薪能も感想残せてない; 凹む;

取り敢えず、豆本の一番の難関だった欝掌編はやっと脱稿致しました! 6割の印刷は終わってるので、次の休みに印刷して、これでやっと細かい作業に移れます(つか、まだやってたんかい; でもこれ、掌編なんだけど100頁近いんよ;)。

後は残り2日でマカロン豆本を最低2種、版下を完成させるミッションさえ終われば…って糸でかがるのも遅いんだよね、俺; 今日も映画館で待ち時間に作業してたけど、あっちゅー間だったもんな; 


こんだけ頑張っても、絶対売れ残る気がする…残ったらどうしよう。誰か引き取ってくれるかしら;

さて、今夜はもう寝てきます。明日は音楽戦士~v ムクさんですよ、トークですよ!

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by yoiyamigentoukyou | 2008-09-02 02:29 | 映画も観る
ジャージなブックカバー
b0142526_045283.jpg …やってみただけ。

[ジャージの二人]の前売り券買った時に貰った手拭いで文庫カバーを折ってみた。
表も裏も、柄行き合わせて折ったので、結構かわいい感じです。

自然と出来てしまうポケットが丁度いいのが凄い(折り方はネットで拾ったんですが、柄行き重視したんで使い方は縦横が逆だったりする)。

隣りの赤紫な物体は天然水のおまけのハンカチ(つーか、触り心地は手拭い…sou・souさんのデザインだからこれもかわいい)。

[純喫茶磯辺]観て来ました。
上手く言えないけど、あったかい映画でした。

さて、8月は[ジャージ]と[たみお]のハシゴ鑑賞ですかねー…体力保つかなー;

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by yoiyamigentoukyou | 2008-07-18 00:53 | 映画も観る
誰だって密室を飼っている [壁男]
壁に耳あり障子に目あり。
目目連なんていう妖怪絵図だってある。

それ位、私達はかなり昔から視線に対して矢鱈と鋭敏だ。
昨今のKYなんかも、その証拠かな、と思う。



奇妙な味わいを齎す漫画家・諸星大二郎作[壁男]の映像化作品。
カメラマン仁科は恋人でありTV局レポーターである響子から、番組に寄せられた匿名葉書「壁男の噂」について異常な関心を示し、やがてコンタクトを取ろうと常軌を逸した行動を取り始める。
一方、メディアで取り上げた「壁男」は瞬く間に巷間に広がってゆき、響子は不安を隠せない。

「壁男」とは一体何者なのか?



細かに散った伏線が未回収なのが喉に刺さった小骨みたいで何よりも恐い。
例えばタクシー運転手、例えば部屋中に箱を積み壁を隠して生活する老夫婦…彼らの行動や結果は、フィルムを見る側と同化している「壁男」しか知らない情報な訳で、だからこそミディアムな位置に観客は放置されて収束する。

果たして「壁男」は本当に存在するのか?
壁の向こうには鏡の国よろしく別次元の私や貴方が生活を営んでいるのだろうか?

それとも。
そこは息苦しい、交じり合えないからこそ誰かを求める不可視の何かが塗り込められている漆黒なのだろうか?



それにしても、記事エントリ作成中、一体何回私は「箱男」と打鍵してしまったのか; 途中で気付いて書き換えたけど…まだ間違えてたら済みません; 公房の[箱男]も素敵に振り切れた世界観の作品なので、一読の価値はありますよん。

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by yoiyamigentoukyou | 2007-10-21 20:11 | 映画も観る
"嘘"を喰む舌 [朧の森に棲む鬼]
…舞台公演をそのままパッケージングしてる訳で、当たり前に上映時間が長いんです…

パークスシネマでの鑑賞は初めてだったんですが、小柄な私にはあのラグジュアリーな座席は大きすぎてしんどかった; 音響はやっぱいいね。スクリーンは小さい気がしたけど(まぁ、客入り考えれば…うん)。

CG加工(抽象的な)とかモーションの速度に手を入れてたりとか、後は当然キャストへのクローズ。やっぱ舞台とは違うんだなー、と。

例えば細かな表情での芝居とか、小道具なんかの意匠。ライのメイクの変化とか。生で鑑賞したのが3階席だったんで、実際どんだけグラス覗いてたって1階席からの視覚情報に較べれば精度は落ちる。「あー、こんな表情してたのかぁ」という発見が多かったですね、フィルムは。

これまで幾つかシネマ歌舞伎を観ていますが、いずれも生の舞台を知らないものばかりでしたので、こんなに落差が生じるのだな、と感じ入りました。音楽の生のライヴとDVD映像とのズレとはなんか逆な感じ。

ただ、矢張り既に体験済みの物語だけあって(記憶に薄かった箇所も多かったけれども)、笑えはすれども泣けはしなかったなぁ…

作品自体の感想は別に歌舞伎カテゴリの方に残すつもりですが、個人メインでの殺陣の迫力なんかは舞台で観るよりは大きいかな…舞台で観てるとね、結構視点が散漫になるんですよ、意外に。だもんでモニターで視界を固定される中での殺陣っつーのはインパクトが増す。ただ、舞台で観てた時みたいなハラハラ感は無いかなー(どっちやねん)。舞台に較べると小奇麗で、寄りばっかだから物足りない感は確かにある。でも映画として見れば問題はないと思う。

逆にクローズされる為にマイナスになるのはマイク。歌舞伎じゃないから耳に掛けてるマイクが目に付くんですよね; 扇とかの小物に仕込んでるのとかも。舞台だと距離もあるしあっちにもこっちにも視点が動くこともあって(つーか黒衣と同じで)「見えても視えていない」になるんですが。



舞台を観てなくても、歌舞伎知らなくても、全然普通に娯楽モノなので、楽しめるかと思います。
開演前と幕間(15分の休憩)、終演後に染五郎さんのアナウンスが入るのも面白いかな。

「悪行を反省しない」ライが好きだという染五郎さん(苦笑)、上映後のコメントでの「あなたの染五郎でした」という括りがスタッフロールの最後に映る表情と相俟って何かいいなー、と(ネタバレになるんで書かないけどね)。



面白いのは面白いのですが、圧倒的に上映時間が長いのでその辺の覚悟は必要かと。自分が見たのは18:40の回ですが、本編概算で3時間+最初のCM10分に間の休憩15分で都合約3時間半掛かります。





最後にちょこっと愚痴。
舞台との一番の差は此処なんだろうなーと思う…



何故にライの最期の場面を加工してるんだろうorz
舞台で見た時、朧の森と繋がるその舌で、森を喰らうと宣言したからこそ森に喰われたんだと、凄い衝撃的に映った最期だったのに…

バリバリ、と森に咀嚼された感が生々しくて。
あの演出が好きだったんだけどな…ゲキシネ版はCG入っちゃって印象がソフトになってて、ちと残念;
まぁ、奇麗っちゃー奇麗ですけど。



でも本当、面白いですよ。舞台観れなかった人にこそ見て欲しいかな。

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by yoiyamigentoukyou | 2007-10-11 20:20 | 映画も観る
ゆるゆると考えるタナトス [図鑑に載ってない虫]
何故だろう…途中から松尾スズキ演じるエンドーがやったら可愛く見えて吃驚だ(苦笑)。


アングラ雑誌のライターをしている[俺]はある夏の日、「"死にモドキ"なる、臨死体験が出来る(らしい)何かを探して体験ルポを書け」という期限付きの取材依頼を言い渡される。
既に先行着手しているというカメラマン・真島は行方不明中、仕方なく万年アル中のオルゴール職人・エンドーを連れて"死にモドキ"探索を始める[俺]だったが……



ぶっちゃけ、(何となく温ーい)エロ・(割と明確に)グロ・(ダサイまでに粘着質かつ無機質な)ナンセンスな作品。褒めてます、はい。

[時効警察]が好きな向きにはこの作品は若干アングラ色が強いかな、と云う点でお薦めしかねるかな…[時効]ほどお洒落~な脱力系という訳でもないし、かといって[探偵物語]みたいな得体の知れないダーティな妖しさもない。

だけど何か、判んないけどジワのような"おかしみ"が残るんだよねぇ…「岡」という漢字見るたびにこれからも笑っちゃうんだろうなぁ、みたいな(さらりとネタバレじゃねーか)。


それにしても伏線回収せずに終わるのが円満だなんて、どんな映画なんだか(笑)。どんどん置いてけ堀になっていく世界は、確かに細かく伏線を拾って風呂敷を畳む作品よりも遥かにリアルだと思う。人の行動や思考にそんな厳密な脈絡なんてないんだし、ひょんなことで永遠に思い出せなくなる記憶もあれば、えらく遠い過去の記憶の引き出しが突然開くことだってある。

だから、そんなゴチャゴチャとした記憶をひっくり返したみたいな映画なので、意外にも結末の反転劇にホロっと来ちゃうんですよ…其処だけぽっかりと寂しくて。


[探偵物語][濱マイク]が好きな向きには楽しめるのではないでしょうか? あと乱歩とか好きな向き。
見世物ショーの場面はアングラ好きには一見の価値ありと思います。ああいう如何わしさは現代の悪所にはないからなぁ…

伊勢谷さんはあんまり知らない役者さんでしたが(キャシャーンやってた人?くらいしか知らなかった)、色気のある人ですね。何だかんだで押しに弱くて結局優しいっつー、振り回され感が素敵でした(笑)。
松尾スズキはほんとは知的な人なんだろうけど壊れすぎてて最後には可愛く見えて困っちゃいました。菊池凛子さんもアニメ声ってギャップが地味に面白かった(感想ちゃうし)。


まぁ、つっても小ネタが多すぎてうっかりすると本筋を見失う瞬間もある、やっぱりエログロナンセンスでちょこっと切ない緩ーい作品なんで、感性の合う人と観に行かれるのが宜しいかと。

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by yoiyamigentoukyou | 2007-07-06 20:29 | 映画も観る
言葉とリリシズムと、少しの歩み寄りの [しゃべれども しゃべれども][キサラギ] 
[しゃべれども しゃべれども]
[キサラギ]


まとめて感想を残すのは、この二つの作品が似ていると思ったから、なのですが。

[しゃべれども しゃべれども]は地味な作品だけど、それがらしい、って思える。

二つ目のウケの悪い落語家・三つ葉はひょんなことから自宅にて話し方教室を開くことになる。
美人だけど年中仏頂面の十河、関西弁ゆえに馴染めない日々に悩む少年・村林、解説出来ない元プロ野球選手・湯河原…心に思うことを、声に表情に表すこと。ただそれだけのことが上手く出来ない彼らと三つ葉。



なんというか、実直な話、二つ目っていうのが関西に馴染みない階級なんでよく判らない(駄目じゃん)。
ただ、みんなが悩んでることは普通に日常に幾つも転がっている問題だから、とても身近には思える。


対して、[キサラギ]はとんでもなくハイテンションな会話劇だ。

自殺したとされるアイドル・如月ミキの一周忌。ファンサイトのBBS常連5人が一周忌を偲ぼうととあるビルの屋上の一室へ集う。
HNで素性を告げぬままに始まったオフ会はやがて、一人が口に登らせた一言から様相を一転する。

曰く、「如月ミキは自殺ではなく、殺されたんだ」



癖の強い俳優が5人、ワンシチュエーションの舞台性の強い演出の許で展開していく台詞の応酬の凄さ。
息吐く暇が無いんですよ…細かな仕草とか行動とか、全部伏線なんです、圧倒されます。


人と人との縁というか。
繋がりっつーか。

この二つの作品を続けて味わった時、本当に不思議だなぁ、って感じる。
どっちもある意味予定調和な終わりを迎えるのだけれど、個人的により胸に残る何かが大きかったのは[キサラギ]でした。


笑って、笑わされまくって。
それで凄く泣かせるんだ、あの結論に。

途中から如月ミキの死の真相なんて、丸解り状態になるんですよ。「実は実は」の伏線の回収は、映画よりも演劇、もっというと歌舞伎とかの伝統芸能の十八番だし。


細かな、蜘蛛の糸のように繊細な係わり合いの糸。
その凄絶さが、何処か恍けた落語だったり台詞とリアクションの応酬の影に底に、ずっと視得ている。

本当にいい作品だなぁ、と。
(まぁ、しゃべれ~の方は関西ゆえの落語の日常への浸透率が低い分、ぶっちゃけ解り難い面も多かったけど;)。





さて。
しゃべれ~は主役よりも伊東四郎とか八千草薫だとかのベテラン勢の演技が素敵でした。

キサラギはもう、5人ともテンション高くて!
特に香川さん、最高過ぎでした…嗚呼、なんて歌舞伎界にとっての損失(諦めろ)…怪演過ぎて思い出しただけで悶える(笑)。あのカチューシャさぁ、絶対告知とかパンフのスチールのと違うよね?

若手二人も楽しそうなのが良かった。小栗旬のくるくる変わる表情とか、切ない「虫ケラ」発言が今も記憶に鮮やかっス。

圧巻は最後に見せるチームワーク。
こんなにフィルムの最後まで楽しかったのは[ジュウブンノキュウ]以来かも。


どっちも面白かったけど、しゃべれ~の方がちょっと生真面目なので、オススメはキサラギの方かな。まぁあの面子で面白くないモノになるはずがないので、是非v

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by yoiyamigentoukyou | 2007-06-26 20:27 | 映画も観る
朱の洪水を湛えてびいどろは沈黙する [さくらん]
大門に填め込まれたびいどろの水槽、優雅に尾鰭をくゆらせてまどろむ金魚の朱色-吉原遊郭に生きる女と男を、きよ葉(後に日暮)という一人の花魁を軸に描いたフィルム。


金魚さん一杯で、それはとても良かったんですが。
なんで蘭鋳が居なかったんだろ、と関係ないコトを思いました(金魚見ると勝手に脳内ではムックの蘭鋳とか水槽とかが流れる程湧いてるので);

…原作未読、事前情報は予告編くらい、という状況で観たのですが、思ってたよりは良かったというか、きついかなぁ、と覚悟してたよりは色彩も抑えてあったような…気もしなくもない(蜷川さんの写真って凄い毒々しいっつーか、毒キノコ並に自己主張してるじゃないですか。前衛じゃなくて無防備な露呈っていう印象が強いんですが)。それでも、敢えて一言で表現するなら壮大なPV。

時代考証とかどうでもいいんですが。
現代感覚を絡ませる際の、割合が結構いい加減だったかな、と。口調とか、遊女言葉とか無くてもいいんじゃ? という風に思いました。全編現代語、その方がすっきりする。

原作との比較が出来ないので反映率は判りませんが、メタファーで全編を包んで終焉させているという点ではいい落とし方だったのでは、と思います。

道行はすなわち心中の死出の先触れ。
己の心を殺して生きるも苦界なら、心のままに果てるも六道の苦界。身受けられた粧ひの生き方も、愛執に壊れた高尾の生き方も、きよ葉から見れば目映いものだったんじゃないかな、なんて。


泣けないだろう、と軽く見てたんですが…予想外に結構泣けました。といっても見事に安藤さん演じる清次の場面でだけだったんだけど。ただ、清次の心情の変化は顕されていたけど、日暮の心境の変化が視えないというのはどうかと; 観るまでずっと、煽りにあった"初恋に裏切られ"ってのが清次への感情のことだと思ってたんですよね…身売りされるのって大体十に満たない頃でしょ? そうすると親身になってくれる清次ってのは充分恋慕の対象になる(しかも桜が咲いたら云々は彼の言葉なんだし)。でも清次にとってはあくまでビジネス。そういう部分で、ずーっときよ葉が清次のことを"男"として認識してて、色々あったことも総てその奥に清次への挑発的な無意識下での意図が見え隠れした上で、最期は叶って道行に…と予想してたんですよ(原作知んないから、今一掴めないけど)。

結構最初の方の、足の指で清次の股間を辿るみたいな箇所がそういう伏線なのかなーって思ってたけど全然違うっぽいし(そもそもきよ葉に清次への思慕の欠片すら感じられなかったけど; 日暮に改まった辺りから何となく変わって来たかな、って感触はあったような気もするような)。

だから、何か最後のご隠居との会話が取って付けた感が強かったのが勿体無いかも。


でも安藤さんの血糊まみれの姿を見ずに終わってくれて良かったです。成宮さんは鏡地獄の印象を思い浮かべて観れば、まぁ確かに笑う鬼に見えなくも。普通に笑うのが怖いっていう感覚は難しい。

アンナさんは、足抜け覚悟で惣次郎に会いに行った時の墨染め姿が一番美しかったです(華やかな衣装全否定、って訳じゃありませんが)。これは歌舞伎の女方さんも同じですね、尼姿にこそ色がある(黙れ)。

とまれ、15年ばかり前の中学生の時に紛れ込んでしまった現実の遊郭の暗澹としていて何故かファンタジックだった光景の方が較べようもないほど鮮烈だったな、と改めて感じたのですが…監督さんや脚本さんは、そういう地図にない本物のエリアに取材に行ったりはしたんだろうか? ふと、そんなことも考えてみたり。


どうでもいいことですが、小泉今日子さんの役が清次の産みの親だったのかな、と見終わって思いました。それで計算すると二人って一回り違うんですね(そうするとちょっと安藤さんだと若すぎたかも;)。
後、椎名林檎の曲使いすぎ。かなりくどかった; 元々そんなに林檎さん好きじゃないせいもあるんだろうけど; パンフの出来も今一だったのが残念。役者のインタすらないって; 百歩譲るとしてもあのスチールの画質の悪さは…どうにもならなかったんだろうか;

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by yoiyamigentoukyou | 2007-03-24 20:30 | 映画も観る
彼誰時に結ぶ言葉は [フリージア] 
コミック原作は、映画よりも淡色っつーか、一本調子に流れてるって感じがあるんですが、映画は随分ロマンチックでした(血塗れだけど)。


近未来、日本。戦況下の治安悪化の為に採択された敵討ち法-代理執行人・叶ヒロシは凍てついた感情のままに対象者を狩る日々。ある時、上司であるヒグチから一人の男の処刑を命じられる。それは良く知った人物だった。


玉鉄いいですね。
原作と違って生活感の欠片も無かったけど(ナポリタンくらいか)、仔犬っぽくて何か似合ってた気がしました(よぅ判らん感想ですが;)。

取り敢えず溝口さんと山田さんの確執が凄絶で、メインのヒロシとトシオの闘いが印象薄かったのが謎。両方穏やかだから、緊迫感よりもまたーりな空気感が強く感じられました。

ヒグチはもっとキャラの濃い役者さんの方が良かったかも。
原作はほとんど知らないんですが(月館が連載されてた時にIKKI購入してて、その時に数話斜めに読んだだけで、随分ヤバ気な漫画やなぁというのと、描線重なり過ぎで見辛いなぁ、としか思ってなかったんですよね;)、こう綺麗にまとめられると「え、それでいいの?;」って気がしてしまって。
…水彩画みたいな透明感、は確かにずーっとキープされてた作品だと思います。毒気が薄いのが不思議だ。


パンフは片面刷りの面白い構成。IKKI本誌を買わなかったので、田島さんのイラストが収録されてたのが嬉しかったです。ヒロシの子役の子、偶然にも良く似てましたよね(どうでもいいコトしか覚えてなくて済みません)。

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by yoiyamigentoukyou | 2007-03-21 20:32 | 映画も観る