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手を叩こう、この穹の向こうに散る翅に [青い春] 
時折、無性に観たくなる作品がある。
別段自分の学生時代が無為に流れて行ったとは思ってはいないけれど、それでもこの虚無は馴染んだ感覚でもある。


青い春

甘い、痛ましいフィルム…だと思う。既に遠くなってしまった時期だけれど、思えばその感傷は今でも胸からは去らない。
だから、この作品に対して、何年経っても冷静になれない自分がいる。

エンドロールが流れ去った、隠された時間の向こう側。
九條の視界では今もただ四角いだけの蒼穹が広がってるのだろうか…


退屈が人を殺す瞬間、そんな印象がある[青い春]。
あらゆる意味での、死。
倦んでいる激情が塗りつぶせない闇に爆ぜるような、そんな雪夫の殺意…木村の選択…青木のレコードと墜落…何処にも行けないことで逆に突き抜けてしまっている九條…

原作はただ壊れた若い日常を切り取っていただけだけど、フィルムは空気に甘さを加味してる。
吐き気がするくらい、唾棄したいくらいに…甘い。

[ピンポン]と両方観て、ようやくバランスが取れた映画でした。
ペコとスマイルはきちんと分化できたよね。
でも九條と青木は精神的に癒着し合ったまま片翼を自分たちでもぎってしまったように感じて…


翔べた? 青木。

ねぇ九條、皆 いなくなっても、君はきっと学校を楽園と呼ぶんだろうね。


九條は言葉にすることで[世界]が壊れるのを忌避しようとしたんだと思う。
でも青木はね、九條。「嫌い」でも「サヨナラ」でもいいから語って欲しかったと思うよ…

青木のこえ、聴こえてたでしょう?


解散してしまったミッシェルガンエレファントの、硬質でざらついたナンバーが彼らの衝動をよく現してると思う。

何時までも動けないまま、あの春を見上げる青木の影と並ぶ、
九條のシルエットが切ない。



どんなに時間が経とうとも、薄れない記憶がある。
九條が呑み込まざるを得なかった痛みは、きっと血の錆香のように甘くて苦いのだろう。多分、私はまだ学生時代に遭った、教授の死を昇華出来ていないのだろう…だから、この作品の蒼穹に、いつも乱される。


この作品で、初めて松田龍平を見たんですよ。
凄絶なまでの眼差しの色香というか…何も視ていないかのような透徹さに、本当に綺麗だと思いました。

以降、氏の出演作は大方観てますが、やはりこの九條という役の印象が離れないでいます。

…ネタバレですね; 未見の方、済みません。

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by yoiyamigentoukyou | 2005-05-04 21:23 | 映画も観る