<   2005年 06月 ( 1 )   > この月の画像一覧
十字は鈍色の影を落す [ハサミ男] 
原作が刊行されて随分経っていることに改めて気付きました。今だったら衝撃的な叙述でもなかったかも知れないけど、それでも当時の自分には解くことの出来なかった作品でした。

という訳で(どんな枕やねん;)、ようやく関西で封切りになった[ハサミ男]を見てきました。


その清楚な少女は、酷く装飾的な姿でその生を終えていた。性的陵辱はない。ただ、その細くなだらかな喉から生える、研ぎ澄まされたハサミが彼女を鈍く映し出していた。
以降、同様の手口で猟奇殺人が連続する。マスコミはこのシリアルキラーを"ハサミ男"と名付けたのだった。

そうして、3番目の殺人が起きる。発見者は"ハサミ男"。
狙っていた少女を己の犯行を模して殺害された"ハサミ男"は独自に調査を開始する。



≪映像→原作≫、という流れよりは、≪原作→映像≫と流れる方が、より感じるところの多い作品であるのではないかと思います。衝撃度、という点からも映画を見る前に原作を読まれることをお薦めしたいかも。

既に冒頭において答えの半分は晒されている。けれど、その答えが本当に完成するのは、物語の最後である。作品を読んだ時、「これは文章だから出来るんだ」とびっくりしながら思ったのですが…真逆に興すことでこういう読み替えが出来るのかぁ、と勉強になりました。

原作付きの映画で、過去に見て来た映画の中ではかなり高ランクに入る。最小限のキャストで魅せてくる部分は、映画というよりも舞台的な印象を受けました。

どちらかと言うと、原作ってイッちゃってる感じがするんだけど、映画はとても繊細な感じを受ける。とても切ない。

結末へ急転していく心理的な葛藤と、贖罪と赦しの兼ね合いが原作以上の叙情を覚えさせました。


…映画見て原作読むと、印象が違いすぎるんで困惑する人とか出そうですね(苦笑)。なんせ殊能さんの文体、割と癖があるし(出る作品は一通り読んでるけど、[ハサミ男][美濃牛]以降、なんか掴み処が無いっていうか、ぶっ飛び過ぎな作品ばっかなので;)。

これまで豊悦のこと、気にしたことなかったんですが(金田一も見なかったし、ドラマも見てない…;)、病院のベッドで横になってた豊悦とか、腕を広げて磔刑とも十字とも取れるシルエットを描く処とか…妙に印象に残ってます。

[PR]
by yoiyamigentoukyou | 2005-06-02 21:20 | 映画も観る