狂おし、いろは送り 20100730 夏休み文楽特別公演 第3部@国立文楽劇場
2010年 07月 31日菅原伝授手習鑑-寺子屋
日本振袖始
初めて観て参りました、文楽。
自宅から松竹座に行くよりも5分ばかり掛かるだけの距離にあるにも関わらず…なかなか機会の合わなかった文楽(期間が短いし、結構やってないんだ…文楽の興行orz)。
予備知識といえば、以前に求めた三浦しをんさんの文楽エッセイに古書で求めた事典一つ。舞台風景は学生時代に授業で見た本朝二十四孝の映像(しかも一部分)くらいしか…どの辺の席で見るといいのかも不明なまま、チケ売り場のお姉さんにブロック別に座席の特性を教わりながら(苦笑)、5列中央での鑑賞になりました。
寺子屋は、平成8年だったと思いますが、仁左衛門さん(当時はまだ孝夫さん)の松王丸に勘三郎さん(当時は勘九郎さん)の源蔵で顔見世で拝して以来の作品。
それはそれは素晴らしく、非常に悲痛で胸苦しく嗚咽の治まらぬ、未だ鮮烈な印象を残す舞台でした。
それ故に以降、観る機会のないままでもあったのですが…
当たり前ですけど、文楽の舞台は黒衣が多い。うっかりすると視界の大半を黒衣さんがひしめいていたりする。
最初こそ歌舞伎や能との構成の違いに「ほうほう…」などと思いはすれ、物凄くすんなりと人形に注視出来ました。
遣い手さんも太夫さんも。
合う合わないとか技量の差とか、全然判りません。
それでも、やっぱり女方っていうのかな…女性の人形を遣われる方の方が何れのお話でも上手いなーと個人的に。
特に振袖始の岩長姫を操られていた桐竹さん。動きもしなやかでしたが、それ以上になんと人形の表情の豊なこと! 笑んでました、呑んだくれてました、べろべろに酔ってました…ガブに至るまでの凜とした娘の頭のままですら、様々な表情を幻視出来ました。
それにしてもガブ、やっぱりよく出来た機能美。般若も素敵…やっぱり鬼面、それも女のそれは一等美しくて浅ましくて、大好きだ!
寺子屋、やっぱり泣いちゃいました。
歌舞伎だと生の人間が魅せる表情や声が、任と相俟って相乗的に押し寄せるのですが、文楽は何か、ちょっとブレる。歌舞伎と違って人形と太夫の語りの双方に意識を分散させてしまうせいか、ちょっとだけ離れて考えられる感じがする。
いろは送りは、文楽には必要な要素ですね。凄い本歌取り、痛ましい。
歌舞伎でもいろは送りってやってたのかな…観た時は中盤から号泣してて、終盤に至っては泣きすぎで若干意識飛んでたからなぁ;
しかし床本まで付いて番付650円ってお得!
アンケに答えたらメモ帳まで頂きました。ありがとうございます。
舞台の字幕、ゴシック体なのが残念(明朝じゃ後方見えないか;)。丁度眼鏡のレンズが切れる位置に見えてたので、舞台だけを観ることが出来て、私には5列目は都合が良かったです。
機会が合えば、また行きたいなぁー。
by yoiyamigentoukyou
| 2010-07-31 02:01
| 能とか狂言とか歌舞伎とか