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1975年、英国。美貌にして、異形である一組の双子がバンドデビューを果たす。熱狂の中心に在るのは、胸部で互いに結ばれた結合体双生児・トムとバリー。
パンクへと至るロックシーンの黎明期に刻まれるTHE BANG BANGの軌跡を記録するべく回されたフィルムは僅か一年の活動期間、そうして永遠の損失の前に封印される。 …何故[TWO WAY ROMEO]は頓挫したのか、その真実が此処に在る。 欲を言うならば。 何も知らずに接して欲しいフィルムだ。 享け入れられるかどうかは個々人に委ねられるだろう。狂おしく、そうして酷く罪悪感に苛まれる。 念の為に、というか蛇足的に、というべきか。 ドキュメンタリーの形式であるけれど、巧みに描かれ紡がれた完璧なフェイクである。 でもそんなことはどうでもいい。それ位、このトムとバリーの物語は蟲惑的なのだ。 まずそのビジュアルに、そのフリークスであるということに強く惹かれる。無垢で、でも狡猾で。エロティックな癖に神聖…まるで自分が窃視しているような、そんな感覚にすら陥る映像。 フリークス、異形…"普通じゃない"と他者から認識され、見世物にされる/となるという職に身を投じざるを得なくなる彼ら。 考えてみれば、奇妙なことだと思う。 絶えず、どのような形式であれ、私たちは日常的に誰かに視られ、誰かを視て生活しているというのに。 トムとバリー、彼らは双子。 だけどその胴は結合していて、循環器を共有している一組。 彼らの、拭えない苦悩は離れられないことにあるのではなく、一方に振り向かれなくなることで生じる自己否定への矛盾にあったのではなかろうか? 片方だけが生き残る、それが許されない彼ら。 でも本当に彼らを許せなかったのは、名前すらない第三の"彼"だったのだと思う。 それはバリーの頭蓋に棲む"3"だったのかも知れないけれど、ラストカットで見せた彼らの、"一人"としての意識だったのかも知れない。 とまれ、凄絶すぎました。 茫然とした、気付いたら泣いてた。 トムとバリーを演じたのは、一卵性双生児のトレッダウェイ兄弟。美形すぎる…高慢で、華やかで、繊細で、エロティックで。途中に兄弟同志のキスシーンもあるんだけど、凄い切なくて; どちらも自分たちの運命がどんな風に転がっていっているのか、自覚してたっぽい雰囲気がバンドアクトの苛烈さと相俟って痛かった。 同じ女性に心惹かれ、でも繋がれないバリーは繋がることの出来るトムに対してどれほど苦しんだだろう。 そうしてトムもまた、どれほど苦しんだだろう…薬物とアルコールに溺れていく彼らがぞっとする程に隠微さを増していく程、その崩壊の到来が半端なく怖かった。 これをゴスと言わずして何をゴスと言おう? これ程の残酷で、それでいて清らかなフリークスの記録を童話と呼ばず何を童話を呼ぼう? 叶うなら、THE BANG BANGのアクトに生で触れてみたかったです。 ■
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by yoiyamigentoukyou
| 2007-01-30 20:37
| 映画も観る
絶叫が聴こえるんだ。
耳朶の裡なのか外なのかも判らない処から。 耳は塞げない。永劫には塞げない。 …ならばいっそ。ダイヴしてしまおうか、此岸から。 夢を見ながら己を切り裂く…果たして、それは自殺なのか事件なのか? 現場へと異動した元キャリアの女刑事・霧島は被害者たちに共通する"0"との通話履歴に着目する。 他人の意識に同調し、特化して睡眠下における夢というフィールドにて干渉することが出来る影沼を強引に事件に担ぎ出した霧島。"眠れない"ギリギリの精神での"0"との駆け引きは功を奏すのか。 …心理スリラーかと思っていたら、結構なグロのホラーでした…塚本作品はこの[悪夢探偵]が初めてで。まぁ、弟からも「多分グロやで?」と忠告は受けておりましたが。 苦手なんだってば、内臓ぶらーり系は(切実に); あとガシャガシャと猛然と追い掛けて来る"奴"が怖かった…映画館では割と普通に、見れたんですよ…でもやっぱ、網膜と聴覚とがしっかりと無駄に灼き付けてくれたらしく、鑑賞後約4日間、見事に寝付が最悪でした; 全体的にトーン暗め、ついでに"0"の役をしているのが誰なのかを解するまでに時間が掛かり(済みません、予備知識なしで臨んだもので;)、結局アレか、あれだけ振って監督が主役ってコトですか、と。 …正直、監督さんが出張る意味がやっぱり判りません; ベースが俳優…なのですかね? 誰かに仮託することは出来なかったのでしょうか? 何だか主演をhitomiとか松田龍平とクレジットしている割にそれが前面に出ていなくて、ちょっと納得出来なかったです(主演を監督ご自身と銘打っていれば混乱しなかったのに、と思っただけですがね。塚本作品の常連なら問題ないコトだったのでしょうけど)。 hitomiは、最初はミスマッチかな、って思いましたが後半の"眠れない"凄絶さが迫ってて良かったと思います。安藤さんは…泣けた; 「何時から想ってたのかな…」って自問しつつ墜落していく場面がもう苦しくて; 松田龍平は、結構ビジュアルも含めて影沼の役は嵌りだったように思います。序盤での畳と薄い布団との平面の隙からぬーっと抜けて来る場面が凄いインパクトありました。 パンフの最後の、三留さんのイラストが凄い濃厚な作品ダイジェストになっているのがイイです。そうしてフジファブリック! 実際最後に流れるのは蒼い鳥ですが、むしろカップリングの東京炎上の方が作品に似合ってる感じがします("後ろの正面で視線を飛ばした"とか、逃げて、でも心臓鷲掴みにされるくらい強く視線に射止められる感じが凄く嵌る感じがする…)。 続編は…どうだろう、やっぱ"奴"が出張るんでしょうか(まるで綾辻サンの[殺人鬼]だな;)? ■
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by yoiyamigentoukyou
| 2007-01-29 20:39
| 映画も観る
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徒然に。
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