2005年 11月 10日
それが映像であれ、小説の行間から立ち上るものであれ。
予告編を見て以来、公開を楽しみにしていた[ブラザーズ・グリム]を観て参りました。道頓堀にチャリで乗り込んでごめんなさい…。
上映時間ギリギリに飛び込んだので、パンフは粗筋しか浚えなかったのですが、結構、引き込まれました。
仏占領下の独、マルバデンという村落の森で発生した少女の連続失踪事件。魔物退治(実はペテン)で名を馳せていたウィルとジェイコブのグリム兄弟は仏軍の拷問魔・カヴァルディの監視の許、少女たちを取り戻す為に村の猟師の娘・アンジェリカの案内で眠れる女王の塔を持つ魔物の森を訪れる。
牙を剥く森、止まらない少女たちの失踪…やがて、兄弟たちは恐るべき儀式へと辿り着き……
[赤ずきん][ラプンツェル][眠り姫]…様々な童話たちが細かく裁たれ新しく継ぎ直された、キルトのタペストリーのような仕上がり。映像が綺麗で(時折グロテスクで)、勇敢さも切ない場面もあったりして、華やかでした。
枝や根を触手にして襲ってくる森の樹々の描写が本当怖い。
妹を貧困から亡くしてしまったという悔恨を持つからこそ徹底したリアリストで社交術に長けたウィルと、同じく妹を救えなかったからこそ逆にマルバデンの森の「本物の」異界・魔物に烈しく惹き付けられるジェイコブ…兄弟愛というか、補いながら歩んでいく兄弟の形が印象的。
上映直前にパンフで兄弟の写真を見た時、「弟役の役者さんの方がなんかハンサム?」とか感じたんですが、帰宅してパンフ読んでて納得。オファー時の配役と逆の組合せになってたんですね…でもって普段の役柄も今回とは逆らしく、自分の感覚も結構アテになるなぁ、と(苦笑)。
…ラストは、もしかしたら本当は悲劇だったんじゃないのかな、と。
パンフで読む限りかなり興行主と監督とで揉めたらしいですね。
魔は本当は人の心…欲、というか。そういう部分で、最後には助からない存在っていうのが出てくるのかな、と。
ネタバレになるんで書きませんけど、最後であのまま、あの人物は目覚めないのではないか、とハラハラしました。でも凄いしんみりさせた後、あの一言(笑)で一瞬にして劇場内の張り詰めた空気を緩和させたのは凄いと思います。 ←見た人なら通じると思うのですが。
だってもう、泣けたもん…想いが苦しくて。
また観てみたい作品です。
グリム童話に詳しいと、もっと楽しめるかと思います。
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by yoiyamigentoukyou
| 2005-11-10 21:13
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